取り戻したい・・愛

2 母の恋

✫✫陽子

昔、看護師をしていたときに
柚木　史華（ゆうき　ふみか）
と、出会った。

海愛の母親・・・
その時　私達は20才。

史華は、小さい頃から体が弱く
入退院を繰り返している
と、言った。

私達は、同い年で
直ぐに色んな話をするようになった。

史華には、身内は誰もいない
それもあってか私の両親は
史華をとても可愛がっていた。

史華も私の両親の事を
とても大切にしてくれていた。

私の両親は、養護施設を経営していて
いずれは一人娘の私が、
継続することになっていた。

当時、史華には愛する人がいた。
その人は、
大賀　春仁（おおが　はるひと）30才
日本最大の極道
大賀組若頭だ。

史華が、働く花屋さんで
史華を見つけて
史華を見初めたらしい。

大賀は、何度も断る史華を
しまいには脅して自分の物にした。


でも、あまりにも自分を大切に
してくれる大賀に
史華もだんだんと心を許して行き
愛するようになったと言っていた。

だが、大賀には
組に正妻がいて
史華は、その事で
心をずっと痛めていた。

そんな時に、史華は妊娠してしまった。

体の弱い史華にお産は無理だと
私は、何度も説得したが
「陽子ありがとう。
でも、私の宝物なの
この子を失いたくない。
だから、お願い。
私に何かあったら、
この子をお願いします。
決して大賀に渡さないで。」
と、これが当時の史華の口癖だった。

史華は、その後
女の子を無事に産んだが
史華の体はボロボロだった。

でも、史華は海愛のそばに
できるだけいたいと
入院をせずに通院で
可能な治療だけを行った。