おはようからおやすみまで蕩けさせて
助けて欲しいとは言ってない
翌朝もチームの空気は重かった。

私をリーダーとして認めようとしない女子の態度は相変わらずで、デキない上司だと明言した山本さんはチャラチャラした態度で部署の子達と談笑してる。

こっちはその二人を見ながらイライラする気持ちを抑え込み、感情的になってはいけないと意識して視界に入れないよう努めていた。



「天宮リーダー」


声がして顔を上げると、津田ちゃんがブラウンヘアを揺らしながらデスクへやって来る。



「間もなく商談の時間ですよ」


ちらっと壁の時計に視線を向ければ、もう直ぐ商談相手が来る時間。



「ああ…うん…」


すっかり忘れていたけどそうだ。
私にも商談が残ってたんだ。


カタン…と椅子を立って商談のブースへと向かい始める。
移動中、昨日の騒ぎを知ってる人達が私を振り返り、昨日は凄かったよね…と囁き合う。


「天宮さんはよくあんな人と結婚したね」

「家庭でもあんなふうに啖呵切ったりしてるのかな」


誰かの声が聞こえ、ズキン…と胸の奥が痛む。
やりきれなくてなって、ずっと床に敷いてあるカーペットの色ばかりを見て移動した。




「ふ…」


商談のテーブルに着くと小さく漏れた溜息を聞きつけ、津田ちゃんが左側から顔を覗かす。


「お疲れですか?」



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