おはようからおやすみまで蕩けさせて
こんな筈ではなかった
目覚めると一人だった。
どうしてソファなんかで寝てるの?と思ったけどそうだ。
私が話したくないくらいに疲れてると言ったから、天宮さんは山本さんの部屋へ行ったんだ。

それで、寝室のベッドで寝るのがイヤでここで眠った。
狭くて寝苦しかったけど、それなりによく眠れた。


「天宮さんは寝れたかな」


昨夜は頼んでもないのに出かけてしまって、私はただベタベタして欲しくなかっただけで、知らん顔しておいて欲しいと願っただけだったのに……。


「ホントにいつも願うこととは違うことばっかして」


イヤんなる…という言葉を飲み込んで起き上がった。
顔を洗ってからキッチンに立てば、昨夜彼が作ったと思われる鶏の照り焼きがフライパンの中に残してあった。


「そうだ、ベタ甘なホットケーキ作るどころじゃないじゃん。これを食べてしまわないと」


昨夜は疲れてきってたから夕食も食べずに眠ったんだ。
朝から鶏の照り焼きは胃にもたれそうだけど、食べずにいるのも勿体ない。


「仕方ない。温め直すか」


やっぱり一人でも彼のペースだ。
何処までも自分の思うようにはならないな…と痛感して、炊いてあったご飯は朝食分だけを残してタッパーに詰めた。


今夜はこの照り焼きと余ったご飯をリメイクしないといけない。
そう言えば今頃、天宮さんは何を食べてるんだろう。


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