円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
お嬢様、お手をどうぞ


二人が乗った馬車は、
伯爵家の正面玄関に横付けされた。

侯爵家の紋章のついた黒塗りの立派な
馬車は、恭しく扉をあけられ、エリノアは、フットマンに、かしずかれながら
ゆっくりと馬車を降りる。

今度は、ブラッドリー卿にエスコート
されて正面玄関から堂々と入って行く。


舞踏会のホールは混雑していて、
たくさんの人がいた。

舞踏会も残りあとわずか。

これからクリスマスを迎え、
舞踏会も最高の盛り上がりを見せる。

会もピークを迎え、参加する人の数も
日に日に増えて行く。


ホールで談笑していた人も、
侯爵家の馬車が到着して、
中からウィリアムが出てくると、
さっと潮が引くように人の流れが
出来ていく。

ホールにいる全員がブラッドリー卿
に注目した。

そうして、ついでに、彼の横にいるエリノアにも敬意をもって歓迎された。


外国の大使たちが、エリノアに深々と
頭を下げ、彼女の手の甲に口づけを
していく。

一度に、有名人になったみたいだ。

こんな扱いを受けるなんて。


雰囲気に飲まれ、挨拶もぎこちなくしていると、ウィリアムに肩を抱かれた。

それだけで、心臓が飛び跳ねそうだった。


それなのに、ウィリアムは……



エリノアの手をとり、彼女の腰を抱いてそっと引き寄せると、大勢の見ている
前で軽くキスをした。

ウィリアムは、恥ずかしがるエリノアを
自分の方に向かせて、
もう一度キスをする。

ブラッドリー卿に敬意を表して、
人々が拍手で迎えた。

割れんばかりの大拍手が起こり、
ホールは歓喜に包まれた。

誰もが、ブラッドリー卿が自ら選んだ花嫁だとはっきりしたので、

エリノアが、駆け落ちしたなどという
噂を言うものはいなくなった。
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