「───また来てるぜ。ったくしつけぇな、あの野郎…」

 普段から不機嫌なセィシェルの顔が更に険しくなった。

「良いじゃあない。店内が華やかになって! アタシ早速注文(オーダー)行ってくる!」

 逆にソニャは機嫌よく軽い足取りで注文を取りに向かった。

 スズランはどちらかというと不機嫌だ。
 何故不機嫌かと問われても上手く説明出来ないもやもやとした気持ちと日々格闘している。

「ちっ…結局ソニャもああ言う奴が好みかよ」

 セィシェルは呆れ顔でぼやくと大量の空き瓶を持って倉庫へ入って行った。満足そうな顔で戻ってきたソニャが厨房に注文を入れる。

「ムフフ…。彼、今日もタコスのピクルス抜きだったわ! 嫌いなんですか? って聞いたら酸っぱいのが苦手なんですって!」

「ふぅん。ピクルス美味しいのに…」

 ソニャとは反対に少し不機嫌な声のスズラン。

「はああ、しかしあの爽やかな笑顔ったらホント罪だわぁ。あんなキラースマイル向けられたら誰だってイチコロじゃあない…?」

 いつもならば冷静な装甲を崩さないソニャが夢見心地な表情を見せる。

「……あの人って誰にでもそうなの?」

「うん。もうあれは天然人たらしってやつだな」