呪われ姫と強運の髭騎士

(4)

自分が修道院に行く前に使っていた部屋は、定期的に掃除がされていた。
 
二間続きの寝室に入り、靴を脱いで寝台に座り込む。

「……あっ」
 
恐る恐る声を出してみて、いつもの自分の声に戻っていることに心の底からホッとする。
 
胸を撫で下ろし、ふと胸元に違和感を感じた。

そこにはロザリオが銀の鎖にぶら下がっているはず。

「……?」
 
服の上から触れているが、いつもと感触が違うのだ。
 
留め金を外し、服の外に出してみて全身が震えた。
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