キミのトナリ
1.まえがき


「これ、帰ったら読んで」

いつもは”俺の著した物は読まないでほしい”と言っている彼が珍しく私に手渡したのは一冊の文庫本だった。

ベッドに入ってから、数時間前に受け取ったそれをバッグから取り出す。

タイトルは『君の隣』。
男女の後ろ姿が描かれたきれいなイラストの表紙をめくった。


これって……。

読み進めると、ある男性の日記をもとに綴られた恋愛小説だとわかった。

そして、その主人公の恋人だった女性、それは紛れもなく私だった。



< 1 / 17 >

この作品をシェア

pagetop