キミのトナリ


翌朝。
彼からメールが入っていた、“読んだ?”と。

“途中まで”
と返すとすぐさま返事がくる、
“最後まで読んだら感想きかせて”と。


“もう読まないと思う”

さんざん迷った挙句、そう返した。


彼からの返事はこないまま。
もやもやした気持ちをひきずったまま、仕事を終えて帰宅すると、アパートの前に恋人の姿があった。

「なんで読まないの?」

「なんでって……。そっちこそ、なんで今更私に読ませるの?」

「読めばわかるから」

真剣なまなざしで私を見返す。

「本当に?」

「あぁ」

「……」

「とにかく最後まで読んでくれ」

「……わかった」


恋人とともに私は自分の部屋へ入る。

そして、約束通り『君の隣』の続きを読み始めた。


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