ミツバチのアンモラル
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翌日は好都合にも休日。よく眠ったこともあって、早朝爽やかに目覚めた。
まずは腹ごしらえだとリビングに降りてみれば、まだ両親揃って就寝中らしく。とりあえずベーコンと卵を三人分焼いておいて朝食をお先に食べる。
顔を洗って寝癖の酷い髪を結い、圭くんが以前誉めてくれたワンピースに身を包み身支度を整えたら、出陣だ。




玄関を出て空を仰ぐと、今日は徐々に晴れてくるでしょうという予報のとおり、薄い雲の後ろには太陽の輝きがあった。湿気を帯びない風も肌を撫でていく。


まだ道路は犬の散歩をする人が歩いている程度で、週末のゆったりした雰囲気の流れる中、お隣のベーカリーからはパンの焼けるいい匂いが風に運ばれてきて、さっき朝食を食べたばかりだというのにお腹が空いた気がする。今朝はお米だったからだろう。


家の敷地から一度道路に出て少しだけ歩く。


「……」


これでも緊張はしている。
早く圭くんに会いたい気持ちを最前列に配置して、少しだけ歩いた道路から、お隣さんの敷地の始まり、門扉に手をかけた。


会ったら会ったらでなんとかしてみせる。
話を、させてもらえますようにと神頼みをして、お隣さんちのインターホンを押した。






五分後、私はお隣さんが営むベーカリーの方へ訪ねにいく。


家のほうのインターホンを押しても反応がなかったので、圭くんは工房にいるのか、家で籠城しているとしたらおばさんに頼んで鍵を借りようと思ったのだ。
智也には頼まない。まだ放っておいてやれと言われるかもしれないから。


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