1 week
Saturday
次の日、店主に美術館のお礼を言った。

「楽しかったですか?」

店主は私たち夫婦の危機に気付いて
あのチケットをくれたのかもしれないと思った。

「色々ありましたが行って良かったです。」

「そうですか。それは良かったですね。」

夕方になって日向くんがやって来た。

「昨日は大丈夫でしたか?」

日向くんは私とキスしたことで
夫婦仲を壊してしまったのではないかと心配しているようだ。

「大丈夫。

夫婦ってそんなに簡単に壊れたりしないから。」

「そうですか…少し期待もしてましたけど…」

「え?」

「いえ、すいません。」

日向くんは私なんかのどこに興味を持ったんだろう?

でも日向くんが居なければ私は、
ずっと宇宙を憎んで生きてたかもしれない。

「あの…ありがとう。」

「え?」

「あなたが居なかったら私たち…
きっと別れてた。」

私が無意識に笑顔を見せると日向くんは言った。

「夏月さんが笑ってくれたから良かったです。

さようなら。

また明日も来ます。」

そして日向くんと私は単なる店の従業員と客に戻った。

その夜、私は宇宙のために愛を込めて料理を作った。

宇宙の大好物のカレーだ。

「昨日、あんまり食べられなかったから。」

宇宙は嬉しそうに

「美味い、やっぱり夏月のカレーが一番美味いよ。」

と笑った。

私たちの食卓には笑顔が戻った。

一週間前には考えられなかった事だ。

そして私のお腹に2人目の子供が宿った事を私はもう少し後に知ることになる。

不安な子育ても今の私たちなら
乗り越えていける気がする。

だって私には宇宙が居るのだから。


moon

The End
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