朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
2・お味はいかが?


国境を離れた馬車に揺られてどれくらい経っただろうか。さすがに腰が痛くなってきちゃった。

座ったまま腰をちょっとだけ回していると、馬車の動きがゆっくりになった。いったいどうしたんだろう。

馬車の窓にかけられた小さなカーテンの隙間から外を見ると、兵隊が守る大きな門をくぐったところだった。


「まあ……すごい!」


ぽくぽくと馬車が走っていくのは、見たこともない美しい庭園だった。円形の大きな噴水があり、その周囲はきちっと並べられた石で区切られている。その区画ごとに種類の違う花が植えられていて、風に乗って良い香りが漂ってきた。


「ここはどこなのかしら。やけに広いけど、公園?」

「そんなわけないでしょう。ここはシャイレンドルフの王が暮らす宮殿です」

「ここが?」


そうなの? 噴水広場が広すぎて、なかなか建物が見えてこないんだけど。

小さな窓から一生懸命外の様子をうかがおうとしていると、ゆっくりと馬車が停まった。


「王女、お手を」


馬車の扉が開いたと思うと、エドガー王……いいわ、心の中では呼び捨てにしてやる。エドガーが手を差し伸べてくる。断るわけにもいかず、その手を取ってゆっくりと外に出る。風で翻らないよう、貸してもらったマントを胸の前で引き締めた。


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