朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令
10・覚悟なさいませ、国王陛下


「判決を言い渡す。王妃ミリィ様を無罪とする!」


黒く長いローブを着た裁判長の言葉が響くと、わああと国民たちが声を上げ、手を叩いた。すり鉢状になった裁判場全体が大きく揺れているみたい。

ホッとして隣を見ると、同じようにホッとした顔のエドガーが。宮殿内で起きたことはエドガーが密かに処理することも多いと言うが、今回は多くの国民の前での騒動となってしまったので裁判にかけざるを得なくなった。いくら王や王妃といえども、司法が贔屓してくれることはない。潔癖なこの国の裁判で、どう裁かれるのかとても心配だったけど、とにかく良かった。

ちなみに裁判にかけられずに済んだボートレイト伯爵は、あの毒薬で事故が起きてはいけないと思い、中和薬を持ってきてくれる途中でラッセルに偶然出会ったのだという。

ラッセルはアミルカに帰ったはずの伯爵がいるのを不審に思い、何をしにきたのか問いただした。そこでアミルカはもうシャイレンドルフに敵意を持っていないことを知り、宮殿まで一緒に行こうという話になったんだって。

伯爵が薬を持っていこうと思わなければ、私は今頃死んでいた。偶然が偶然を呼んで、運よく助かったんだ。


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