冷徹ドクター 秘密の独占愛
美人女医さんがやってきました



「お疲れ様でした〜、お大事にどうぞ」


ユニットを立ち上がり「ありがとうございます」と受付けに向かう患者さんを笑顔で見送る。

すぐに使用済みの器具を片付けに消毒室へと引っ込んだ。


月曜午前中の忙しい時間帯。

先生たちが掛け持ちで患者さんを診療し、スタッフはそれに合わせてあちこちでアシストや準備、片付けに追われる。

忙しい方が時間の経過が早く、あっという間に昼休みになるから、それはそれで悪くない。


金ブラシで診査器具を洗っていると、「おはようございまーす」と弾んだ声が聞こえてくる。

“げっ”と思いながら顔を隠すように流しの中の洗い物に視線を落とした。


「おはようございます、お世話になってます」

「お世話様でーす」


いつものように注文を取りに消毒室に入ってきた慎は、中にいた私にも極めて自然な声を掛けてくる。

ホワイトボードの前に立ったのを目の端に確認しながら、私の方も普段通りの挨拶を返した。

< 121 / 278 >

この作品をシェア

pagetop