冷徹ドクター 秘密の独占愛
副院長が難ありのようです



「白衣、サイズ大丈夫だったかしら? あら、ぴったりね!」


白のケーシージャケットに、お揃いのパンツ。
その上にパステルグリーンの医療用エプロンをつけると、自然と気持ちが引き締まる。

今まではスカートタイプの白衣を着て仕事をしていたから、パンツスタイルの白衣がすごく新鮮に感じる。


翌朝。
私は新たな職場となる東條歯科医院の休憩室にいた。

昨日の面接後、院長は明日からでもすぐに出勤してほしいと言い出した。

前の医院の引き継ぎがあるとか、そういう事情がないことが把握されている私は、断る理由もなく、わかりましたと返事をするしかなかった。

もう少しゆっくり休む時間が欲しかったのは山々だけど、どうせ決まった新しい職場。

勢いに任せて出勤してしまおうと、私にしては前向きな考え方で今日を迎えた。


奥さんに来てと言われた八時半過ぎに出勤すると、すでに医院は診療の準備が始まっている時間らしく、案内された休憩室には誰の姿もなかった。


休憩室は前の医院に比べると倍以上はある広々とした部屋だった。
八畳くらいはあるように見える。

十人は昼休みを過ごせるテーブルと椅子が用意され、そこには大きなテレビもある。

部屋の奥には冷蔵庫や電子レンジ、トースターまでもが揃っていて、快適な休み時間を過ごせそうな設備が整っていた。

ロッカールーム兼更衣室は、休憩室から入れる隣の部屋にある造りだ。


「じゃあ、みんなに紹介するから診療室に出ましょうか」

「あ、はい。お願いします」

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