冷徹ドクター 秘密の独占愛
前代未聞の事件を起こしました



「はぁーっ?!」


思わず身を引いてしまうような大声を出され、慌てて店内をグルリと見回す。

周囲で静かに食事を楽しんでいた人たちの視線が一斉にこっちに向いていて、気まずさからつい頭をぺこぺこと下げていた。


「ちょっと華世、ボリューム!」

「いや、ちょっと待って! わかるように最初から説明してよ!」


週末、土曜の夜。

前々から約束していた衛生士学校同期たちとの定例女子会。

あのボールペンの仲良し四人組の集まりだ。

今日は再就職した私を祝うと三人が言ってくれ、今の大声の主、吉瀬華世子(きつせかよこ)がお店を予約してくれた。

お昼の情報番組でも取り上げられたらしい、落ち着いた雰囲気のフレンチ料理店。

そんないいところに来ておいて、この悲鳴のような声はいただけない。


トレンドに敏感な華世は、学生時代からオシャレでいつもノリがいい絵に描いたような女子。

ミーハーなのがたまに傷だけど、私はいつも華世とキャッキャして過ごしていた。

一か月ほど前に会った時は、暗めカラーの重めミディアムヘアだったけど、今日会ってみると髪色は明るいブラウンカラーになり、レイヤーも入れゆるふわの巻き髪になっていた。


「だから、わかるようにって言われても、私が一番わかってないよ」


例の、あのボールペン。

実習中になくしたことは、三人も知っている事情だった。

それが、今になって発見されたこと。

しかも、持っていたのが新しい職場の副院長だったことを話すと、三人は揃って目を丸くした。

華世に至っては、身を乗り出して興奮する始末だ。

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