そして私は今、真壁課長の自宅マンションのエントランスに一人ポツンと佇んでいる。


オフィスで課長が落としたドデカい爆弾のおかげで、私はあの後みんなから質問攻めに遭いもみくちゃにされた。
集中砲火の的にされ、本当に本当にほんっっ……とうに大変で、逃げ出してくるのが精一杯だった。
おかげで、あのまま会議に行ってしまった課長に、押しつけられた鍵を返すこともできず。


持ち帰ってきてしまった鍵を返さないと、というのももちろんあった。
課長がどういうつもりでみんなの前であんなことを言ったのか、問い質したい気持ちも。
だけど今はそんなことより、とにかく一言心底からの苦情申し立てをしないと気が済まなかった。
だから不本意ながら、こうして課長のマンションを訪れたのだ。


もちろん、身の回りの物なんか持参してない。
鍵は持ってるけど、上がり込むつもりもない。
とにかくここで真壁課長が帰ってくるのを待って、文句を言ってもう一度ちゃんとお断りして、そのまま自分の家に帰るつもりだった。


うららかな春先。
日中はだいぶ暖かくなったとは言え、陽が落ちて夜になると気温も下がる。
トレンチコートの衿を立て、亀みたいに首を引っ込めて暖を取ろうとしても、手の先、足の先から冷え込んできて、地味に寒い。

この作品のキーワード
上司  プロポーズ  溺愛  結婚  オフィスラブ  クール  年の差