課長が日を跨いで投下した二度の爆弾の噂は、瞬く間に社内に拡散されたようだ。
その日のお昼休み、社食で落ち合った佐知子が、噂の真相解明を求めて開口一番で私にそう教えてくれた。


「そっちのフロアの誰かがこっちのフロアの誰かにメールで知らせたらしい。私はトイレで他の部の人が話してるの小耳に挟んだわよ」


マーケティング事業部は海外営業部とスリーフロアも離れているのに。
光の速さで伝わる噂話の厄介さに、私は重い溜め息をついた。


「他人をネタにして噂話なんかする暇があるなら、仕事すればいいのに……」


気付けば、この社食でも私はやたらとチラチラ視線を向けられている気がする。
カウンターの向こうのおばさんからうどんの器を受け取り、私はトレーを手にガックリとうなだれた。


「そういうのを食い物にして楽しめる人種って、低次元だし。そりゃあ普通職場でも評価されないわよ。オフィスに来ても仕事がなくて、噂話拡散できるくらい暇なんじゃない?」


『トイレの個室に籠ってSNSとかに挙げてそう』と、佐知子も口をへの字にして私の後をついてくる。


「そんなの話題にしてなにが楽しいの? 私とも真壁課長ともなんの関係もないでしょ?」


溜め息交じりに眉間に皺を寄せると、佐知子がクスクス笑う声が聞こえた。

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