金木犀の季節に
第三楽章





翌朝、学校に行くと、やっぱりみんな御機嫌だ。
しかし、私はそれどころではない。

「みほ、今日も学校きてるよ。
あんなことしておいてよくこれるよね。
あいつの顔まじで見たくないんだけど〜。
あ、でも今日午前授業だからあんまり見なくてす……」
「ごめん、お手洗い行ってくる」

これ以上理穂の口から悪口が出るのを聞きたくなかった。



私も含めて、女の子は毎日何かに対して悪口を言う。
よく知らないけれど、たぶん男の子もそうだろう。

この世界は「悪口星人」で溢れている。

奏汰さんは、全てを投げ打ってまで私たちが生きる未来を守ろうとしてくれているのに、こんなのは、あんまりだ。


あんなに素敵な人が、こんなに冷たい人たちのために死んでいってしまうの?



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