冷徹侯爵の籠の鳥~ウブな令嬢は一途な愛に囚われる~
第4章/消えた令嬢


「コツ、でございますか? 特にはございません。
お湯をポットに注いでから蒸らす時間を計算して、クラウス様のところへお持ちするだけです。
その日の気温、湿度、クラウス様のご体調などによって、多少時間は変えますが基本は1分30秒です」
懐中時計をちらと見ながら、リュカが答える。


道のりは、長く険しいと知る。

「・・・お時間をとらせてすみません。リュカ様は本当になんでもお出来になるんですね」


いえ、と長身の家令は眉ひとつ動かさず答える。
「私にも出来ないことはございます。男ですから」

ぽかんとするフロイラを残し、リュカは踵を返す。

男だと出来ないこと?
どういう意味だろう。

しかし、リュカの謎かけにかまけるよりも、やらなければならないことがある。
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