アンドロイド#01
救助

燃え盛るバス、高速道路一帯は警官により整備されている。

炎上するバスから少し離れたところに、フロントガラスに細かくヒビが入り、ところどころを大きく変形させたトラックが、おかしな向きで停まっていた。

道路上には、飛び散ったガラスや何かの破片が散乱している。

その間を縫って、止めにかかる警官をいとも簡単にふりほどくと、シャープは脇目もふらず一直線にバスへと向かった。

ちゃんと、最短距離を瞬時に計算して。


高熱を帯ているバスの中に躊躇いもせず入り、対象の人物を即座に見つける。


『…もう大丈夫だ。』

そう言って、熱から身を守る為に、自分の着ていたジャケットを妊婦に掛けた。

「助けて…赤ちゃんを…助けて…」

『二人とも必ず助ける。』

そう言って妊婦の体を持ち上げた。

『…まずい、残り12秒71でエンジンに引火する。』

そう言うとシャープは妊婦を、いわゆるお姫様だっこで抱え、バスの後ろのドアを蹴破った。


歓声の中もシャープは妊婦を抱えたまま走り、バスから離れた場所で妊婦を下ろす。

『3…2…1…0。』

瞬間、凄まじい爆発音が響いた。

『…狂いは無いようだ。』

救急隊員が駆け寄り、すぐさま妊婦に酸素を吸入させる。

担架に乗せられた妊婦は、去ろうとするシャープの手首を掴んだ。

「貴方の…お名前は…?」

呼吸を乱しながら必死に問う妊婦に、『シャープだ。』と一言だけ残し、彼は去っていった。

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