副社長には内緒!〜 Secret Love 〜

その後、意外にも落ち着いた日々が続いていた。
嵐の前の静けさの様な気がして、莉乃は少し落ち着かない気持ちでいっぱいだった。

「水川さん、商談行くよ」
「はい」

最近誠に言われ、莉乃は商談や、打ち合わせに同行することが多くなっていた。
莉乃自身少しでも誠の仕事を把握したい気持ちと、怪しい動きがきになり素直に誠に同行していた。

秘書課の前を通りエレベーターへ向かう時、夏川の姿を見て莉乃は軽く会釈すると、
「副社長、行ってらっしゃいませ」
夏川はこれでもかという笑顔を誠に向けて誠を送り出していた。
「ああ、いってくる。ありがとう」
誠のあの嘘の微笑みを久しぶりに見た莉乃は、チラリと誠に視線を向けた。

(どうしてこの人は、この笑顔をむけるんだろう……そして、またここにも被害者が……)

夏川の頬が少し赤くなるのを見ながら、莉乃は一人心の中でため息をついた。
< 65 / 323 >

この作品をシェア

pagetop