イケメン小説家は世を忍ぶ
8、囚われの身
何かが頬を叩く感触がして目が覚めた。

目を開けると、ナイフが目の前にあって……思わずハッとなる。

ナイフを持っている頬に傷のある男と目が合うと、身体がブルッと震えた。

だけど、驚いたのはそれだけじゃない。

ソファに横になった状態で手足はロープのようなもので縛られてるし、口にはさるぐつわをされてて……今の状況に恐怖を覚えた。

広尾の先生の自宅の近くで口を誰かに塞がれてからの記憶がない。

何故私はこんなことになってるの?

どのくらい意識を失っていたのだろう?

夢であったならどんなに良かったか。

でも……ナイフの冷たい感触は現実のもの。
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