夢の中で君を描く
不完全なソラ
美術室に入って、そのまま三歩進んで。
右の窓に向かって五歩歩く。
開いた窓から吹く風と、眩しいくらい明るい太陽の光が部屋中に広がっていた。
そこにイーゼルとキャンパスを置いて、絵を描き始める。
あと一ヶ月と少し経つと文化祭で、その為の作品を作らないといけない。
幾つか作ってはいるが、どれも納得いかず、時間が過ぎていくばかりだ。
そして今も、また新たに描いている、目の前の空。
パレットの上で混ざり合う色。
虹色に染められる白いキャンパス。
動いている雲と光。
誰もいないこの時間、静かな教室で、目の前に広がる空を描く。
けど、
どの色を足しても、それは空にならなかった。
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