きっかけは
久しぶりのキス




ピリッと衝撃が走った


今まで一度も触れたことの無かった唇は
人生の中で初めてのキスのかの様に痺れさせた

誰かとの初めての時でさえもこんな風に感じたりしなかった
あー、これがキスなんだ……って漠然と
結構、醒めてた
セックスだってそうだった
性欲は満たされても、満足感がないなぁって
でも、男だから性欲だってあるし
とりあえず、その場の欲は解放されるわけで

可憐の唇に何度も何度も触れながらそんな事を考えていた



「ん、あ……あき………」



可憐の甘い吐息
ほんの少し開いた瞬間を逃がさない
迷いなく舌をこじいれた


「あ、あ………き」


ヤバい

女の声ってこんなにも欲を掻き立てるなんて知らなかった
止まらない
頭の中が痺れる



10秒なのか
1分なのか
もっと長いのか
時間の感覚なんて無かった


漸く、我に返ったのは、可憐が俺の胸を苦しそうに叩いたからだ


パッと身体を離せばもちろん、唇も離れるわけで
無性に寂しくなって
もう一度キスをしようと近づけば


可憐の手が俺の唇を遮った



「彰………は、話をしよう……」

「あ、………」



俺はバカか!
どんだけ夢中になってんだよ!


可憐のうっすら赤くなった顔と
少し涙目な瞳に

今日、二度目の我に返った


「ごめん………」


咄嗟に出た言葉は謝罪
思い付いた言葉も謝罪





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