きっかけは
好きってなんですか?





「お前は可憐さんの事が好きなんだよ」




はぁー


また、ため息


昨日、高梨に言われた言葉が頭の中をぐるぐる回っては俺を追い詰めていた
結局、昨日はあまりに眠れてない

時計を見ればもうお昼を回っている
何やってんだか……


なんで、俺が可憐を?
高梨にもそう言った
でも、あいつは呪文の様に何度も何度も繰り返したんだ



「お前は可憐さんの事が好きなんだよ」と
「ちゃんと認めろ」と


認めるも何も…………
何度考えても答えは同じだった


可憐とは同期で気の合う同期の一人だと
嫌いじゃない、むしろ人間として好きだ
でも、それは性別を越えたもので……
それに、可憐だって

現に可憐は海外事業部の部長と付き合ってるんだろ?
結婚するんだろ?


チクッ

また、変な痛みを感じる



「可憐さんは女だぞ」


高梨は真面目にそうも言った
茶化すわけでも至って真面目に
そんな事わかってる
どう考えても男には見えない



しかも、なんで言い切るんだ?
俺自身の事は俺が一番わかってるっての!




最後にはニヤニヤ笑いながら「考えろ考えろ、可憐さんの事をしっかりとな」と
そう言って俺たちの飲み会?は幕を閉じた


俺はモヤモヤするからもう一軒行きたかったのに高梨は「お前と違って俺は枯れてないんでね」と妖艶に笑って駅とは逆の方向に消えて行った







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