泥酔ドクター拾いました。
…って、言ったものの現在の時刻は午前1時。

この時間帯、職員通用口から出てしまえば、私の恰好なんて誰も見ることはないだろう。

それに、せいぜい帰り道にあるコンビニに寄って少し買い物するくらい。

現在絶賛彼氏募集中の私は誰にも会わず、このまま家に帰って寝るだけなのだからメイクなんて直してもあまり意味はないのだ。

最近はもっぱら、家と職場である新都総合病院の往復だけになっているわけだし。



私は、病院の裏にある駐輪場で自転車に跨ると、家に向かって漕ぎ始める。


自転車通勤の私にとって、やっぱりヒールは太めでなくちゃ困る。



半年前に引っ越したばかりのマンションは新都総合病院から自転車で20分。


「もう少し近い方がいいんじゃない?」

なんて、同じ部署の同僚のみんなには言われたけれど、少し離れた場所に住むことにしたのは、仕事とプライベートをしっかり分けておきたかったから。


だけど、やっぱりこんな夜中に20分も自転車で移動するのは、正直しんどい。

< 2 / 225 >

この作品をシェア

pagetop