泥酔ドクター拾いました。
それにしても、まつ毛長いな。
メガネを外した顔は、整った顔立ちの中にどこかあどけなさが見え隠れする。
整った甘いマスクは、口元にある小さなホクロが無駄に色気を漂わせている。


彼の表情が和らいだことを確認したら、一気に疲労感が押し寄せてきて私はベッドの横に座り込んでしまった。

いつも寝ている私のベッドが彼が寝ていると小さく見えてしまう。

そんなことを思いながら、彼の寝顔をぼんやりと眺めた。


彼が寝返りをうとうとしてふいにブランケットからでた二の腕に見える筋張った筋肉と浮き出た血管、それに細長い指先には惚れ惚れしてしまう。

本当に、何から何までいい男だと思う。


こいつ、泥酔男じゃなかったら完璧にいい男なのに…
私の唇まで奪った今じゃ、最悪な泥酔男だけど。

そんなことを思っていたら、鮮明に彼の唇の感触が私の唇が思い出す。
目の前にある彼の整った唇にばかりを見つめてしまって、胸の鼓動が急に早くなっていく。


落ち着け、私。

自分にそう言い聞かせながら、彼の規則的な寝息にあわせて呼吸をしていると、疲れがどっと押し寄せてきて、いつの間にか夢の中に落ちていったのだった。


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