「笑い事じゃないんだって」

頬を膨らます私の様子が、やっぱり美樹にとっては面白いようだ。

「別に奈緒にとってファーストキスじゃないんだし。減るものじゃないでしょ」

イケメンとのキスなのだから、むしろ喜んでもいいんじゃないと言わんばかりに美樹はますます可笑しそうな顔をしている。


あぁ、もう。人の気も知らないで。

「ごめん、ごめん。でも奈緒が放っておくなんて出来なかった気持ち分かるわよ。私だって多分何かしら介抱すると思うもん。まぁ、自分の家に泊めることはしないかもしれないけれどね。ナースの職業病なのかな」


ごめん、って言いながら悪いなんて思ってはいない様子の美樹が優しく微笑んで言った。

「職業病だとしても、相手がどんなにイケメンだとしても、今後一切あの泥酔男の顔なんて見たくはないな」

私は美樹の言葉に返事をするように、ぽつりと呟いた。