泥酔ドクター拾いました。
あの日から、俺を取り巻く環境も一変してしまった。


ほのかを溺愛していた教授は、俺たちが別れたことを知ると一気に俺を冷遇した。

俺が院内の看護師と浮気をしたせいで別れたと、吹聴してまわった。

それまで教授の助手として入っていたオペも回数は徐々に減り始め、あの日ほのかと唇を奪い合っていた後輩が助手として入ることが増えていった。


もう、俺の居場所はここにはない。

そう思い始めていた頃、声をかけてくれたのが新都総合病院の院長だった。


『もう一度会いたいの、崇也』

「本当にもう無理だから」

『ねぇっ、おねが……』

すがるようなほのかの言葉を断ち切るようにして電話を切ると、俺は瞼を閉じ、強制的に視界をシャットアウトして、大きなため息をついた。

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