オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「行くぞ」と向居はスマホをしまいジャケットを翻した。

私はその颯爽とした姿になかば呑まれながら黙ってあとに続くしかなかった。

またも見せつけられる柔軟な発想力。
こういうところね、私が盗むべきところは…とお仕事脳にメモメモ…と黙っていると、路線バス続きで私が機嫌を損ねていると勘違いしたのか、向居が気遣う口調で言ってきた。


「まぁ、花街通りに並んでいる店をのぞきつつ桜を見に行く方が、女性には楽しいのかもしれないけどな」

「別にいいわよ。花街通りは帰りにのぞけばいいし。向居の案に感心しただけよ」

「そうか」


と返し、その後返答に困ったかのように間をあけると、向居は続けた。


「旅行業界に身を置く者としてどうかと思われるかもしれないけど、実は俺、人混みには飽き飽きしているんだよな」

「飽き飽き?」
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