オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~

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ランチは奮発した甲斐があって、特産品をふんだんに使ったコース料理はどれも絶品だった。

心配していた敷居の高さも、実際訪れてみれば気さくな店員さんばかりで親しみやすかったし、個室に通されてしまえばあとはご自由にだ。気兼ねすることなんてなんにもなかった。
と緊張が抜けてしまえば、あとは存分に食事を堪能するのみ。
次々運ばれてくる料理の盛り付けや食器の美しさに感動し、素材を生かした斬新な料理の美味しさにさらに感激し、大満足の時間となった。


「はぁ、着物じゃお腹がきついわ…」

「なかなかの量だったな。俺でもあれはきつかったぞ」


その向居がきつい量を綺麗に平らげた私…。
ちょっと恥ずかしくなって取り繕う。


「だって、あんな料理めったに食べられないでしょ? きれいさっぱり頂かないと」

「そうだな」


と向居はうなづいて見せるが…口元が妙にゆがんでいるのは、なぜかしら??

…たしかに、ちょーっと食べることに集中しちゃったかなぁーという反省は無きにしも非ず、よ。

向居はといえば、この地域の特産品や風土をあらかじめ調べておいたのか、素材の生かし方とか味付けを一品一品理解しながら堪能していた。配膳して料理の説明をしてくれる店員さんも、こころなしか向居にばかり饒舌だったような…。

ほんとこの男、侮れない。ひょうひょうとしながらも仕事はやっぱりしっかりしているのよね。
この分だと、いつか料理中心の企画が出てもすんなりいいものを作っちゃいそうで、ほんと末恐ろしい。

まぁ、とりあえずは今回の企画案に必要な情報は充分得られた。写真もたくさん撮らせてもらったし、なにより美味しくて大満足だったんだから充分よ。

と、満腹満足でお店を出て、次は腹ごなしに花街通りをぶらり。
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