エリート御曹司が過保護すぎるんです。

【10】意外な真実

 結局私は、その日の夜、合宿所に泊めてもらうことになった。

「いいよね、淳司?」
「うん。部長の権限で許可します」

 二階堂さんも責任を感じてか、快く承諾してくれた。

 部外者を合宿所に泊めるのは、基本的には禁止なのだそうだ。
 部員同士の親睦を深めたいから、という理由らしい。

 だから私は、誰にも気付かれないように、部屋でじっとしていなくてはならない。
 合宿の打ち上げまでは遠慮しておきたかったので、それはそれで都合がよかった。


 この合宿所は会社と提携している保養所でもあり、私も存在だけは知っていた。
 学生が泊まるような古い建物を想像していたけれど、紫音に案内されたのは新しくできた離れの別館で、静かできれいなところだった。

「なんだか、修学旅行みたいだね」

 紫音は楽しそうに、旅行用のバッグからあれこれ取り出す。

「シャンプーなんかは遠慮なく使ってね。着替えは私のキャミソールとショートパンツで我慢してくれる? 下着はこれでいいか。新品の勝負下着だけど、桃ちゃんにあげる~」

 紫音がポイポイと袋に入った下着を投げてよこす。
 一瞬ぎょっとするけれど、紫音は全然気にしていないようだ。
 かわいらしいデザインの、水色のブラとショーツ。
 汗でベトベトだったから、着替えは助かる。けれど……。
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