空と君との間に
ハンカチだ…



……………



まじで?!普通落とすか?俺はハンカチなんて落としたことねぇぞ!


…いや、これはきっと、恋愛の神様が俺にくれたチャンスだ!


そう思うしかない俺は、勇気を振り絞り、そのハンカチに手を伸ばした。



そして、匂いを…


いや違ーーうぅ!!


渡さないと、行ってしまう!!



「あ、あのほぉ〜」


声裏返っとるっ!!


「えっ?」


松永みすずは、振り返った。


……………


うっ…やっべぇ!めちゃくちゃ可愛い!


頭がパニクる…真っ白だ…


「あっ、そのハンカチ私の…拾ってくれたんですか?」


初めてちゃんと聞く、みすずの声…


何て言い表せばいいのか…


それは、まるで…


天使……?!


俺はポカンと口を開け、ぼーっとなっていた。


「あの、私のハンカチ…」


ふと我に還った。


「え?あ、はい、これね。はい拾いました。見てたら落ちてきて、いや落としたから、はい」


俺は何を言ってる…


クスクス…みすずは、笑った。


「いやぁ、俺全く喋れてないですね。すいません」


「クスクス…ごめんなさい。可笑しくて…」


空気が和み、俺は心からホッとした。


「あの、確かY高の方ですよね?」


えっ?俺のこと知ってんのか?!


「そ、そうですけど…」


「私もです。1年A組の松永美紗」


「あ…、俺は柳瀬空って言います。C組の…」


「知ってるよ。同じクラスの向井君が、柳瀬君のこと話してたから…ギターが上手いんだ!って…うちのクラスにも来たことあるでしょ?」


「あ、うん。あぁ、向井がね…」


でかした向井!俺は今度から、お前の事を神と呼ぼう!!


しかし、何か話さないと…



「…今日はいい天気だね」


何じゃそりゃ…もっと気の利くこと言えないのか…俺は…


「うん、空も綺麗だし…天気がいいと、気持ちいいしね!」


俺はその発言にドキッとした…
< 11 / 59 >

この作品をシェア

pagetop