君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
ふと鏡に映る自分の顔を見てみると、疲れの色がだいぶ濃くでている。

舞台上ではこんな顔見せないようにしないと。

頬をもち上げると、鏡の向こうの私も同じように動く。

「…あれ?」

一瞬、鏡の向こうが揺れた気がした。
目をこすってもう一回よく見てみるが、何も変わった様子はない。
不思議そうにこちらを見る自分がいるだけ。

「あはは。
やっぱ疲れてるんだなー」

なんて、笑ってみる。

鏡をおろしたその瞬間、目を開けていられないほどの強い光が飛び込んできた。

「え、…わっ」

思わず手鏡を放す。

目を覆っても、その眩しさは消えてくれない。
あまりの眩しさに頭がくらくらする。

あ、まずい…。

そのまま私の意識は暗闇へと吸い込まれた。


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