君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「それに、俺が様子を見に行かないと、今にもカナトが飛び出して行きそうですし。
さっきから事あるごとに鏡の部屋がある方を見てるの、気づいてますか?

そんなに気にされたら、正直重い…」

「お前な…」

そんなに見てたのか、僕は。
気づいてなかったけど、重いって言われるのは心外だ。

「伝言はありますか?」

「いや…。

これを持っていってくれないか?」

照れ臭いけど、シンに頼むしかない。
箱の中身を覗くと、シンはニヤリと笑った。

「ほーう。なるほど」

意味深に何度か頷くと、口を閉じた。
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