君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「うん、そっか。
二人を見てると、良い関係を築いてきたんだなっていうのがよくわかるよ」

ソファーに座って、一体どれくらいの時間話しただろうか。

話始めた時に比べると、月の位置が大きく変わっている。

「そうだ、おいで。
このブレスレット、月明かりにかざしてみると変わるんだ」

ベランダに出たカナトについていって、月光にかざしてみる。

「うわぁ、光ってる!
綺麗」

リンタールの歌姫と書かれた青い石が、神秘的な輝きをまとっている。
青だけじゃない。細かな色が次々に光っては消える。

うっとりするほどの美しさ。

「そうだろ?
リンタールでしかとれない石なんだ」

「そうなんだ」

この国の話をするときのカナトは、いつも嬉しそうにしてる。

「このブレスレット、城を出入りする人は皆持ってるの?」

「城の中で働いてる人は皆の持ってるよ。

所属によって色が違うんだ。青は、神楽弥の他に演奏隊がつけてる。

ちなみに、僕のは白だ」

手首に巻かれたブレスレットを月にかざすと、白い清らかな輝きを放った。
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