君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「シンはがカナトの護衛なら…。
私が裏切っても大丈夫なように準備してるの?」

「あー…。

俺が人を疑うのは息をするようなものです。
そういうふうに育ってきましたから。

そんな俺から言わせてもらうと、神楽弥はもう少し人を疑った方が良いように見えますけどね」

「そう?」

「俺のことだって最初から全然疑わなかったでしょ」

言われてみればそうだった。

「それは、信じても大丈夫だろうなって思ったんだよ」

「ほら。
やっぱり心配です」

言われてみると、人の悪意に気づきにくい所があるかもしれない。
主役争いで、騙されたこともあった。

でも、そこで疑ってたらきりがなかった。
だったら、周りの悪意に目を向けずに自分を信じて突き進もうって、がむしゃらにやってきた。

その代償として、孤独感は常につきまとっていたけど。
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