冷血部長のとろ甘な愛情
「おかえりなさーい。どうでした？」

「あれはダメだわ。論外よ」

「えっ、そうなんですか？」


奈由ちゃんには首を縦に振って返事をした。詳しく知りたいような表情をしていたが、今は何も話したくないから見て見ぬふり。

残っていたメールの返信だけして、パソコンはシャットダウン。いくつかの資料をカバンに詰め込み、デスクの上を片付ける。


「マーケティングの販売戦略部に行って、今日は直帰するからよろしくね」

「分かりました。行ってらっしゃい」


奈由ちゃんに課長への連絡を頼んで、フロアを出た。今日はもう部長と顔を合わせたくない。

打ち合わせを済ませたら、さっさと家に帰って、好きなドラマを見て、今日のことは忘れよう。

そう心に決め、爽やかな風に吹かれて乱れた前髪を整えて、歩き出した。
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