冷血部長のとろ甘な愛情
部長と二人きりではないことにホッとした。専務がいてくれると心強い。

部長の運転する車で向かった先はフレンチレストラン。業務中に行くことは滅多にない場所だ。

部長と私が並んで座り、目の前に専務が座った。


「こうやって神原さんと顔を合わせると一緒に仕事していた時よりも塾で教えていた時の方がなぜか思い出されるんだよね」

「私もそうです。今でも心の中では本郷先生と呼んでますから」

「ははっ、先生という響きが懐かしいな。晴生は呼んでくれたことないけどな」

「呼べるわけないでしょ。学校の先生ならともかく塾だし、それに俺は習ったことないじゃん」


私は二人の話を聞いて、食べる手を止めた。今の話の流れからいうと、部長も専務が教えていた塾に行ってたということになる。

念のため確認してみるかな。


「部長はもしかして私と同じ塾に行っていたのでしょうか?」

「うん、そう。晴生も行っていたよ。俺は中学生専門だったから晴生を教えることはなかったけどね」
< 65 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop