スーパーアイドル拾いました!
別れ
「おはようございます!」

 いつものように元気で言ってはみたものの、夕べは食べ過ぎ、飲みすぎ、歌い過ぎで体が重い。

 でも、海斗の歌も生で聞けたし、楽しくてたまらない夜だった。


「おはよう、柚奈! なんか疲れてない?」

 望がニヤリと柚奈を見た。

「夕べ、遊び過ぎちゃった」


「あらあら、カッコいい彼に振り回されちゃって……」


「そんなじゃないわよ!」

 柚奈が望を睨んだ。




「柚奈さん! 梅田さん到着です」


「はい!」


 柚奈は梅田の元へ行き、屈みこんで目を合わせた。


「あら、柚奈さん…… 来てやったわよ……」

 梅田は、いつもの憎まれ口を叩くが、日々弱くなってきているのが分かる。

 消して元気になっていく事は無いとが解っていても、変わらない声掛けに努める。



「梅田さんが、来てくれないと寂しいですから……」


「そうかい……」

 梅田の表情はいつになく穏やかだ……


「梅田さん、お茶でも飲みますか?」


「柚奈さん…… 少し、外の風にあたりたいわ……」



「わかりました。車椅子、押しますね」
< 37 / 47 >

この作品をシェア

pagetop