後輩なんて本気になりません!


「わっ!オレ先輩に掛けてたんですね
無意識です すみません
でもぉ〜えっとぉ〜
オレ今日何か先輩を怒らせましたっけ?」


「違う違う!龍馬だと思わず・・・
ちょっと電話で言い合いしてて
その延長でまた掛けて来たのかと
思ったんだ ごめんね」


言い合いじゃなく
あたしが一方的だけど。


「お友達さんと喧嘩したんですか?」


「えっ?」


「今日友達と会うと言ってたから」


「あ〜あ 友達とは喧嘩してないよ」


「別件っすかぁ
それなら口調からして男っすねぇ
元カレっすか?」


するどい!


「違う!」と言ってはみるが


「先輩の良さが別れた今頃わかって来て
やり直そうと言われたんすか?
遅いですよねぇ」


「それはない・・・
ただあいつが・・・あっ」


「フフフ すぐ先輩は
引っかかりますね
素直な証拠です」


龍馬はほんとに・・・。


「何があったか知りませんけど
怒んないでください
あまり怒りすぎると
眉間にシワが出来ちゃいますよ」


「シワ?どーでもいいしっ!
あんたまで輪をかけて
怒らせないでよね」


「先輩 今暇っすか?
輪をかけて怒らせちゃったから
お詫びに奢りますよ」


「暇じゃない!今から寝るの!」


「そのまま寝たら
ストレスで身体が参っちゃいますよ
癒してあげますから飲みに行きません?」


「誘ってくれてありがたいけど
でもこのまま龍馬に会ったら
有る事無い事八つ当たりしちゃうから
1人静かに寝るわ」


「オレでよければ
八つ当たりしてください
それで先輩の気が晴れるなら
オレの心は広いっすから」


「いい男だね龍馬って」


「うん?今頃わかったんですか?」


「本当にありがとう
でも今日は頭の中グッチャグチャだから
1人でゆっくり整理したいから
本当にごめんね」


「必要な時はいつでも電話ください
すぐに駆けつけますからね」


龍馬は本当にいい子だ
いい後輩を持ってあたしは
不幸ばかりじゃない
ここに幸せがあるもの。




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