お姫様は男装騎士
出発
翌日


朝早くに着替えをして荷物を持ち、
伯父様の部屋に向かう。


部屋の前に着き、
ノックをして部屋に入る。


「失礼します、伯父様」


と言うと、


「あ、アリス…なのか?」


と驚いて椅子から落ちる。(伯父様が)


「そこまで驚きますか?」


と私が苦笑いしながら言うと、


「いやいや、驚かない方が可笑しいでしょ?
こんなにイケメンなのに」


と言う伯父様。


イケメン?


はて、どこに?


「イケメン?
どこにおられるのですか?」


(この鈍感は治らないのだろうか…)


と伯父は秘かに思った。


「アリスの事だよ」


と伯父様は苦笑いして言う。


「私が?
いやいや、
ご冗談はおやめになってくださいよ」


と私は笑いながら言う。


(本当のことなんだけどな〜)


と心の中で呟く伯父。


私は真っ直ぐに伯父様を見ながら、


「伯父様、これからよろしくお願いします」


と女性のお辞儀ではなく、
男性のお辞儀をする。


「こちらこそ、
よろしくね…カロナ。
これからは敬語はダメだからね」


と伯父様は人差し指で私のおでこをツンっとする。


「分かってますよ、父上」


と言うと、


「う〜ん?まっ、しょうがないか」


と伯父様は諦めた。


「父上、いつ頃にこちらを出発しますか?」


と尋ねると、


「そろそろ、行こうか。
カロナ、皆さんには挨拶したのかい?」


とかえってきた。


質問返し。


「昨日のうちにしておきましたよ。皆、目に涙をためていましたね」


と私は苦笑いをする。


「そうかい。
それは泣きそうになるさ。
今まで一緒に暮らしていたのだからね」


と私の頭にポンッと手を置く伯父様。


「ですね。
別に死んでしまうわけではないのだから、
泣かなくても良いのに…。」


と涙目になる私。


それを見た伯父は、


「泣いて良いんだよ。
無理して強がらないで」


と頭を撫でられる。


瞳からは幾つもの雫が流れた。


「私…だって…寂し…いの…です」


と誰にもはかなかった弱音をはいた。


それから数分後、


「お待たせしてしまい、すみません」


と私は伯父様に深いお辞儀をした。


「だ、大丈夫だから!!顔を上げて!」


と伯父様はあたふたしていた。


「よし、カロナ落ち着いた?」


と伯父様は私の顔をのぞき込む。


「大丈夫です」


と一言短く応えると、


「さて、荷物を持って、出発しよう!」


と明るく言う伯父様。


私たちは荷物を持ち、外に出る。


すると、


「アリス…気を付けて行くのですよ」


とお母様が外で待っていた。


あっ、また泣きそうだよ…。


「はい!
頑張って参りますよ。
あと、しっかりと手紙も出しますね!」
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