カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

衝撃のランチ



   ◇


 何が悪かったのかをよく考えて。いい? このぐちゃぐちゃになった頭の中を整理するのよ。


 高瀬麗《たかせ うらら》! 今、人生最大のピンチなのよ。考えないでどうするのよ。混乱してる場合じゃないの!


 助けて、助けて!
 そんな助けてだなんて泣いたって仕方ないじゃない。ああ、もう。何でこんなことになってるの!?


 いや。やっぱりわたしが悪いの? まともに生きてきたはずだった。
 ただ、わたしは……。



「大丈夫かい?」



 暑い。まだ六月だというのに、このわたしを責めるような太陽は何?


 落ち込んでるんだから、ドラマ的に雨が降ってもいいじゃない。悲劇のヒロインくらい演じさせてよ。


 ヒロインって年齢でもないか。もう二十八歳。三十路目前じゃない。


 そういえば今、声かけられた?



「お嬢さん大丈夫かい? スーツも乱れちゃって、せっかくアップにした髪も」

「はい、大丈夫……です」

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