誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〜第6章〜





今日、待ちに待った冬の日。








何度この日を通っただろうか。








この日が来るたび、胸の奥が締め付けられる。








だけど……ひとまずそれも今年で終わらせる。








次に来る冬の日には、ずっと怖くて行けなかったけれど……笑って貴方のお墓の前に立ちたい。










「ハイ、レディ。こんばんは。」



「カイさん、今日はありがとうございます。
そして、巻き込んでしまうこと申し訳ありません。」



「私も神賢者の1人デス。
それに、私には貴女をお護りする義務がございマス。」



「ハンッ、真琴を護るのは俺だぜ?」



「ねぇ、なんで燐理はそこで張り合うのかな?
まぁでも、僕もそのつもりだよ。」



「おい、由樹。
ちゃっかりお前も張り合ってんじゃねぇか。」



ねぇ、何で戦いの前なのにあなたたちはこんなに緊張感がないのかね。



私まで気が抜けてくる。








〈……真琴……あの……、〉








私の肩の上で気まずそうにするビビ。



その姿にフッと微笑んだ。



「ビビ。私はもう気にしてないよ。
来都からも教えてもらったし、ビビが私の記憶を消したのは私を護るためでしょう?
だから……もういいの。」



それに、悪くない記憶ばかりではなかった。



呉都さんが私に宛てた最後の言葉を聞けたんだから、もう十分満足してる。



〈……でも……私は、初めから真琴に近づく目的で……。〉



「うん。それも理由があったからでしょう?
それに、近づいてくれなきゃ私はこうやってビビと一緒にいれなかった。」



〈……真琴……。〉



知ってるよ。



ビビが私のことちゃんと考えてくれていたこと。



由樹さんを連れてきた時も。



殺し屋を助けてしまったと悔いた時も。



皇帝に会った時も。



今ならちゃんと分かる。



全部初めから知っていたから……どうにかしたかったのだと。



だから、その優しさは受け取っておくよ。



「だから、私に力を貸してくれないかな?
ビビと一緒じゃなきゃいまいち調子出なくてね。」



〈……フフッ、いいわよ。
今日は思う存分暴れましょう。〉








お互いに感じ取っているからこうやって笑える。








何も見てない、知らないフリをする。








これが最後になるなんて……感じ取っていても言えない。








だから私たちは"いつも通り"を演じるの。






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