恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)
序章 大きな河の流れるまち。
また、来てしまった
私のお気に入りの場所。
そして忘れられない思い出の場所。

隣町と わたしの住んでいる町の間には広い川が流れている。

ここは、東京からは、電車を2本乗り換えてたどりつく地方都市だ。
駅には商業ビルが3本建っているし、タワーマンションも建設中だ。
大学もあるので、たくさんの若者が歩いているし、
生活するにはちっとも困らない。

駅に近い所はスーパーや、カフェやコンビニやファミリーレストラン。
5分も歩けば、メジャーなホテルも建っている。
ただ、映画を観るには電車で隣の町に行かなくてはいけないし、デパートもない。
川を渡る橋は3本で朝、夕にはかならず渋滞する。
そんな所だ。


私の好きな川沿いをゆっくりあるく。
川岸には少年野球のグラウンドとサッカーコート、
一段あがった場所にはジョギングコースが川に沿って長く続いていて、
更にその横にはクローバーの絨毯の上に所々に配置されたベンチがある。
季節ごとに花をつける木々も植えられていて、
休日には思い思いの場所でカラフルなレジャーシートを広げた家族連れの笑い声や
野球少年の掛け声が響く町のみんなの憩いの場所だ。
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