恋人未満のルームメイト(大きな河の流れるまちで。リメイク版)

雨の季節。

雨が降る火曜日。

ピンポーンとチャイムが鳴る。
今は夜中の12時前だ。
リュウなら、鍵を開けて入ってくるはず。
でも今日は…

インターホンにでると、
「こんばんは、上川さん。菅原です。
尾崎先生酔っ払ってしまって、送ってきたんだけど…」

…菅原先生?
私ったら部屋着ですけど…

一瞬固まるけど、そんなこといってられなさそうだ。

ドアを開けると、リュウが、菅原先生になんとか支えられて立っている。

「リュウ、何やってるの!?」と声をかけると、
「ナナコ、ゴメン」と私に手を伸ばすが、菅原先生に止められる。

「尾崎先生、いま、上川さんに掴まったら、3人とも倒れるよ。
上川さん、このまま連れて部屋に入るから、尾崎先生の靴、脱がせて。」と笑う。

「スミマセン、菅原先生」と 私がいうと、

「上川さんに謝られても困るよ」と、真面目な顔で言った。

なんとか、リビングに運び、ソファーベットを広げて寝かせる。

リュウは動かない。

「やれやれ」と菅原先生は息をつく。
そして、
「大きいとこういうとき困るね。」と笑った。

私はリュウのかけ布団をクローゼットから運んでいると、

「上川さん、お水くれる」と菅原先生の声。

「冷蔵庫、開けてお水取っていいですよ」

と返事をしながら、布団を持って、リュウにかける。
< 88 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop