身代わりペット
フッ、と課長が目を細めて微笑む。

「ありがとう。中条は良い子だな。あ、レディに向かって『良い子』はないか」

ハハハ、と声を出して笑っている。

でもその声は、全くと言って良い程感情がこもっていない、渇いた笑いだった。

「課長……」

「ここは風が強い……中に入らないか?」

「でも……」

まだ少し、課長の目は赤く腫れている。

この状態で戻ったら、みんなに何か詮索されてしまうんじゃないだろうか。

言いたい事を察知したのか、課長が『大丈夫だよ』と言いながら私の頭にポンッと手を置いた。

(わっ……)

大きくて、ゴツゴツして温かい手。

(和矢とは全然違うな……)

こんな時に、どうでも良い事が頭に浮かぶ。




・・・・。





・・・・・・・・・。





・・・・・・・・・・・・・・・。





てか、課長はいつまで私の頭に手を置いてるの??


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