哀しみの最果て
プロローグ1
初夏の日がひっそりと光を照らす6月。


朝日が部屋を包み込み、子供の声が木霊する。


最近ではセミの鳴き声も日に日にうるささを増していき自然と目は覚めていく。


浅田真(アサダ マコト)は目を擦りながらベッドの傍に無造作に置いてあるメガネに手を伸ばした。


ぼやけた視界が一転して一日の始まりを告げる。


「まだ少し眠いな。」


真はベッドから体を起こしかけたが、とっさにもう一度横になった。

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