哀しみの最果て
「わかりました。とりあえず、今日のところはこのくらいにしておきましょう。
ちなみに明日から早速調査を開始致します。近々アパートの方も調査してみたいのでその時はご協力お願い致します。
最後に今回の捜索に関する契約事項の書類にお名前と連絡先を記入して頂いてもよろしいですか?」


宮部がそう言うと日野が書類とペンを鈴花の目の前に置く。


書類を書き終わると鈴花は大きくお辞儀をし事務所を去っていった。


おもむろに時計に目をやると12時を既に回ろうとしている。


「あれ?そういえば、家出捜索の依頼主に連絡してあるんだよね?」


日野はハッと思い出したかのように慌てて受話器を手にし、宮部はタバコを取り出し小さく呟く。


「今年も暑くなりそうだ…」

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