王様と私のただならぬ関係
ゴミに出して捨ててください
 



 次の日、明日香は受付に鍵を受け取りに行く用事があったのだが、緊張した。

 例の彼女、三田静(みた しずか)が居る時間帯だったからだ。

「お、おはようございます」
と言うと、

「あら、日下部さん、おはようございます」
と穏やかに微笑みかけられる。

 お名前覚えていてくださいましたかっ、と更に緊張する。

 静の薬指には婚約指輪らしきものがはまっていた。

 幸せそうに見えるのにな……と思ってしまう。

「すみません」
と作業服を着た男性に話しかけられ、もうひとりの受付嬢は行ってしまった。

「あの、日下部さん?」
と変わらない笑顔のまま、静は鍵を渡しながら言ってくる。

「昨日、見てた?」

 えっ。

 固まった自分に気づき、
「日下部さんは正直ね」
と微笑まれた。
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